ボラティリティは高い方がいいか、低い方がいいか

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突撃!隣の資産報告~あの人の資産はどうなった?2019年2月という記事で私のポートフォリオを紹介していただきました。

その中で、TMF(Direxionデイリー20年超米国債ブル3倍ETF)について、次のような疑問をいただきました。

突っ込みどころというより気になるのが、TMFについてです。債券のようにボラが小さいものをレバレッジで持つと、値動きよりも金利分のマイナスが多くでるのではないか、というのが、私が今懸念しているポイントです(特に検証はしていませんが。)ここについて、ぜひコメントいただきたいですね。


突撃!隣の資産報告~あの人の資産はどうなった?2019年2月

また、その懸念からTMFを売却されたそうです。

TMFを売った背景は、「債券と株の逆相関の未来に疑問を感じたから」です。確かに歴史上、株が下がった時は、債券価格があがり、株をヘッジする役割を果たしてきました。しかし、ここについて、「本当にそうか」と思うようになりました。逆相関をする、しないではなく、売った大きな理由は、「値動きの小さい債券は、3倍レバレッジだと、金利分でマイナスになることが多いのではないか。そのデメリットは、株のヘッジよりも大きいのではないか」というところから来ています。

【投資結果】2019年2月の投資結果および今後の投資方針

この記事では、ボラティリティについての考え方を見ていきながら、この疑問に答えていきたいと思います。

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ボラティリティとリターンの関係

平均リターンには、算術平均リターンと幾何平均リターンがあります。

算術平均リターンは必ず幾何平均リターン以上の値になります。

算術平均リターンは、リターンが出るたびに売却して利益を確定し、損失が出たら元の投資額まで買い増す場合のリターンの平均です。

リターンが出ても売却せず、複利を生かすような投資をしている限り、算術平均リターンを得ることはできません。

複利を生かすような投資での累積リターンは、幾何平均リターンと投資期間によって決まります(追加投資がない場合)。

算術平均リターンと幾何平均リターンの差は、ボラティリティの大きさによって決まり、次のような近似式が成り立ちます。

幾何平均リターン≒算術平均リターン-ボラティリティの二乗÷2

「-ボラティリティの二乗÷2」の項がいわゆる減価と呼ばれるものであり、レバレッジの有無に関係なく存在します。

算術平均リターンが同じなら、ボラティリティは小さい方が幾何平均リターンが大きくなります。

幾何平均リターンが同じなら、ボラティリティは大きい方が算術平均リターンが大きくなります。

レバレッジ投資の場合

n倍のレバレッジをかけて投資すると、ボラティリティはn倍になります。

算術平均リターンもn倍になりますが、レバレッジとは自己資本以外のお金を借り入れをして投資することなので、(n-1)倍の金利を支払うことになります。

例えば、3倍のレバレッジをかけた場合の幾何平均リターンは、

算術平均リターンの3倍-投資額の2倍の金利-3倍のボラティリティの二乗÷2

となります。

「算術平均リターンの3倍-投資額の2倍の金利」の部分は、「算術平均リターン+リスクプレミアムの2倍」とも言い換えられます。

n倍のレバレッジをかけると、(n-1)倍のリスクプレミアムが上乗せされることになります。

これは線形的に増えていきます。

一方、ボラティリティによる減価は、n倍のボラティリティの二乗÷2であり、二乗がついているため、非線形に増えていきます。

リスクプレミアムの増加は線形的であるのに対し、ボラティリティによる減価は非線形的に増えていくので、いつか減価の方が大きくなります(実際は連続複利で考える必要があるので、もうちょっと複雑です)。

これが、ブル3倍は過度なレバレッジかという記事で書いた、幾何平均リターンのピークを過ぎた、レバレッジを過度にかけた状態です。

TMFの場合

TMFの算術平均リターンは、TLT(iシェアーズ米国国債20年超ETF)の3倍の算術平均リターンから2倍の金利を引いた程度になると考えられます。

これは、TLTの算術平均リターンに2倍のリスクプレミアムを足したものとも言えます。

TLTのリスクプレミアムとは、TLTの算術平均リターンからレバレッジをかけるために支払う金利を引いたものです。

支払金利は短期金利にしたがいます。

そのため、長期債のリスクプレミアムは長短金利差にしたがうことになります。

よく「高金利ではレバレッジ投資は向かない」という意見を目にしますが、大事なのは金利ではなくリスクプレミアムです。

金利が高くてもリスクプレミアムが大きければ問題ないし、金利が低くてもリスクプレミアムが小さければ問題になります。

リスクプレミアムが小さいと、より小さいレバレッジでも、ボラティリティによる減価がリスクプレミアムの増加分を上回ってしまいます。

「値動きの小さい債券は、3倍レバレッジだと、金利分でマイナスになることが多いのではないか」という先の質問に答えるならば、値動きが小さいならばそれだけ減価が小さくなり、リスクプレミアムが十分にあればレバレッジをかけることは問題ないということになります。

しかしながら、レバレッジETF単体やアセットクラス単体で考えるべきではなく、レバレッジに適したアセットやセクターは存在しないという記事にも書いたように、

  • レバレッジなしでシャープレシオが最大になるリスク資産ポートフォリオを考える
  • そのリスク資産ポートフォリオの最適なレバレッジ比率(現金比率)を考える

という順番で考える必要があります。

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