永続的にマイナス成長する企業でも株価の上がり方は成長企業と同じ

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投資先の国や企業に成長が期待できるかどうかでは、株価が上がりやすいかどうかは判断できません。

重要なのは、サプライズです。

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高成長企業や新興国株式の株価は上がりやすいか

「成長が期待できる企業を選ぶのが投資の基本」

「人口増加で高成長が期待できるから、新興国株式に投資する」

「日本は人口減少で低成長だから、国内株式は投資に不向き」

「資本主義が継続し、世界経済が成長する限り、株価は上がり続ける」

どれもよく見かける言葉です。

部分的には正しいものもありますが、どれも因果の説明が誤りであるか、少なくとも言葉足らずです。

理論株価の決まり方

高成長企業であっても、低成長企業であっても、その成長率の予想が正しい限り、株価の上昇率(正確にはリスク調整後リターン)は同じになります。

配当割引モデルにしたがえば、理論株価は次のような計算式になります(割引キャッシュフローモデルなどの他の企業価値評価方法でも結論は同じです)。

$$理論株価=\frac{配当}{割引率-配当成長率}$$

配当が100円、割引率が5%、配当成長率が永続的に3%だとすると、

$$\frac{100}{0.05-0.03}=5000$$

株価は5000円となります。

この株が1年後、予想通りに配当が3%成長したとすると、

$$\frac{103}{0.05-0.03}=5150$$

株価は5150円となります。

配当の100円と合わせて5250円になるので、リターンの250円を元本の5000円で割ると、割引率通りの5%のリターンとなります。

次に、配当は100円、割引率も5%のまま、配当成長率が永続的に-3%の場合を考えてみます。

$$\frac{100}{0.05-(-0.03)}=1250$$

株価は1250円となります。

この株が1年後、予想通りに配当が3%のマイナス成長をしたとすると、

$$\frac{97}{0.05-(-0.03)}=1212.5$$

株価は1212.5円となります。

配当の100円と合わせて1312.5円になるので、リターンの62.5円を元本の1250円で割ると、割引率通りの5%のリターンとなります。

成長率がプラスであってもマイナスであっても、成長率が正しく予想され、その見通しが変わらないのであれば、リターンは割引率通りになるということです。

企業の成長率は株価に織り込まれ、高成長なら高い株価、低成長なら低い株価になるので、成長率に関係なくリスクに見合ったリターンになります。

つまり、市場が成長率に見合った値付けをしている限り、成長率にかかわらずリスク調整後リターンは等しくなります。

何が株価に影響を与えるのか

では、なぜ、実際には銘柄によってリターンに差が生まれるのでしょうか。

これまでの例では、配当成長率の見通しが変わらない場合を考えてきました。

配当が100円、割引率が5%、配当成長率が3%の場合、株価は5000円でした。

しかし、成長率の予想が外れ、配当成長率を下方修正し、今後永続的に2%になるとします。

$$\frac{102}{0.05-0.02}=3400$$

すると株価は3400円となり、配当と合わせて3500円なので、株価は1年間で30%の下落となります。

成長率の予想が変わらなければ、成長率の高さはリターンに影響を与えませんでしたが、成長率の予想の修正は、1%の修正であっても株価に大きなインパクトがあることがわかります。

リターンに影響を与えるのは、正しく予想されている限り成長率そのものではなく、サプライズです。

日本の株価が長期低迷した理由

バブル崩壊後、長期にわたって国内株式の株価が低迷しています。

その理由として、「日本が低成長だったから」と説明されることがあります。

しかし、ここまで見てきたように、低成長自体は株価低迷の理由にはなりません。

バブルにおいて、日本の将来の成長率が不適切に高く見積もられ、それを織り込んだ割高な株価になっていたため、予想が下方修正され続け、株価が低迷したというべきでしょう。

市場の効率性

成長率の予想や人口の予想は公開された情報です。

株価は、すぐにその情報を織り込んだ価格になります。

市場はかなりの程度効率的だと考えられます。

「高成長が期待できる」

「人口増加が予想される」

といった情報は、どの投資家も共有している情報であり株価に織り込まれているため、その情報に基づいて投資をすることに優位性はありません。

優位性がある情報とは、市場が知らない未公開の情報、つまりインサイダー情報です。

投資先を決めた要因の合理的な説明

成長率の予想や人口の予想は公開されている情報ではありますが、市場が過大評価や過小評価している可能性も考えられます。

「人口増加で高成長が期待できるから、新興国株式に投資する」

「日本は人口減少で低成長だから、国内株式は投資に不向き」

といった説明は、

「新興国は人口増加による高成長が期待できるが、株価はそれを十分に織り込んでおらず、割安となっているから新興国株式に投資する」

「日本は人口減少で低成長が予想されるが、株価はそれを十分に織り込んでおらず、いまだに割高であるから国内株式は投資に不向き」

といった説明であれば、一応は筋が通ることになります。

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